【全4回連載】脳活すいみんTOPICS 第1回 脳と睡眠の関係における 睡眠の役割
脳神経科学者である早稲田大学 枝川義邦教授による
脳と睡眠をテーマにした「脳活すいみんTOPICS」
枝川 義邦(エダガワ ヨシクニ)
早稲田大学
研究戦略センター教授・脳神経科学者
第1回は「脳と睡眠の関係における睡眠の役割」についてです。 休んでいる時間と思われがちな睡眠ですが、実は積極的に日中のパフォーマンスを上げる働きがあります。
例えば…
- 老廃物を掃除する
睡眠は日中に脳細胞や身体にたまった老廃物を掃除する役割を担っています。この老廃物がたまると認知症を引き起こすこともあります。 - 成長ホルモンを分泌する
成長ホルモンは子供だけではなく大人にも関係があります。また、細胞をダメージから回復させる作用があり、身体やお肌を健康に導きます。 - 記憶の定着をはかる
脳の中に情報を刻み込むのが記憶。眠ることによって記憶の編集を行い、定着させるのが睡眠の役割です。
眠っている時間は起きている時間とつながっていて表裏一体です。忙しいからといって睡眠時間を削ると、日中のパフォーマンスが下がってむしろ効率が悪くなります。 「睡眠」がただ身体を休めることではなくて、大事な役割を負っていることに気付いてもらいたいです。
※この記事は、2017年9月に東京丸ノ内で開催されたイベント、「RISE 脳すいみん3DAYS」で行われた「脳すいみん講座」よりの引用です。
PROFILE 枝川 義邦
早稲田大学研究戦略センター教授(早大ビジネススクール兼担講師)。1998年東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了、博士(薬学)。2007年早稲田大学ビジネススクール修了、MBA(経営学修士)。同年、早稲田大学スーパーテクノロジーオフィサー(STO)の初代認定を受ける。脳の神経ネットワークから人間の行動まで、マルチレベルな視点による研究を進めており、経営と脳科学のクロストークを基盤とした執筆や研修も行っている。