試験の前日、時間が足りないために徹夜をしてしまった・・・という経験はありませんか?徹夜は、多くの勉強時間を確保できるというメリットがありますが、逆に学習効率を下げてしまうというデメリットもあります。今回は、徹夜が学習効率に与える影響、睡眠と記憶の関係について書いていきたいと思います。
睡眠不足では記憶は定着しない!?
私たちが理想とするのは、短時間でなるべく多くの知識や情報を理解し、インプットすること。しかし残念ながら、せっかく覚えたことも、大半は短時間のうちに忘れてしまうということがわかっています。
「エビングハウスの忘却曲線」をご存知でしょうか。ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウス氏が、「記憶したことをどれくらいの時間がたつと忘れるか」という実験を行いました。その結果、20分後に42%、60分後に56%、そして1日後には74%が忘却されてしまうということがわかったのです。
徹夜で覚えても翌日には大半を忘れてしまう。睡眠不足の状態であれば、さらに記憶の定着率は下がってしまうでしょう。実際に、覚えたものを長期記憶化するためには睡眠が重要であるということは、多くの研究からも明らかになっています。レム睡眠とノンレム睡眠はそれぞれが記憶を定着させるために重要な役割を果たしているため、レム睡眠、ノンレム睡眠のいずれかが欠ける恐れのある短い睡眠では、睡眠による記憶の定着率が下がってしまいます。次の日に備えてしっかり睡眠を取ることが、学習効率の向上につながるのです。
睡眠不足が学習能力に与える悪影響とは?
睡眠不足が及ぼす影響は、記憶が定着しにくいということだけではありません。しっかり寝なかったことによる勉強や試験への影響について、以下にまとめました。
集中力が低下する
脳は、睡眠をとることでインプットした情報を整理して、疲労を解消しています。しかし、徹夜をすると脳は常に活動した状態になってしまうため疲労が蓄積されたまま解消されないことになってしまいます。そのままの状態が続くと、集中できない体質になってしまうのです。
ミスが多発する
ハーバード大学メディカルスクールの調査によれば、人は一晩寝ずに過ごすと血中アルコール濃度が0.19%まで上昇するそうです。これは、酒気帯び運転の基準の0.05%を大きく上回っており、「ほろ酔い」とほぼ同様の状態になります。このような状態では正常な判断ができないため、普段しないようなミスを起こしてしまうこともあるでしょう。
ナチュラルハイ後の大きな疲労感
脳が疲労した状態で体を動かすと、いわゆる「ナチュラルハイ」の状態になることがあります。これは、疲れを紛らわせるために脳が興奮物質の「ドーパミン」と「アドレナリン」を多量に放出させることで起こる現象といわれています。ナチュラルハイの状態では、頭が冴えて体も軽々と動きますが、一旦その状態から離脱するとドッと疲れがやってきます。疲労感や眠気によって体を動かせないような状態にまでなってしまうこともあります。
まとめ:学習効率を高めるなら、良質な睡眠をとることを心がけよう
徹夜での勉強は、多くの知識を短時間で学習できるメリットがあるものの、脳や体には負担がかかる行為でもあります。学習効率を高めるにはしっかりと脳を休ませ、記憶を定着させることが大切。学んだことを長期記憶させるためにも、テスト前日もじゅうぶん睡眠時間を確保するよう心がけましょう。