素材別枕の洗い方
枕のカバーを洗うことはあっても「枕そのものは洗わない」という方もいるのではないでしょうか。枕には、それぞれ素材に適した洗い方があります。
パイプ、ストロー、ビーズ
パイプ、ストロー、ビーズは基本的にいずれも洗える素材です。丈夫な素材なので洗濯機で洗うこともでき、天日干しも可能です。
洗濯機で洗う場合は中身が飛び出すといけないので、ファスナーが閉まっているか確認し、洗濯ネットに入れて洗いましょう。
使用できる洗剤は中性の液体洗剤など刺激が少ない洗剤が良いです。粉洗剤は溶けにくいのでやめたほうが良いでしょう。
また、これらの素材は熱に弱いのでドライヤーや乾燥機は避けましょう。乾燥させる際は天日干しがおすすめです。
ポリエステルわた
ポリエステルわたは化学繊維なので水に強く、丸洗い可能です。しかしわた状になっているので洗濯機で洗うと、ダマになったり偏ったりします。
ポリエステルわたは手洗いのほうが良いでしょう。洗面所や浴槽などに水を溜めて、優しく手洗いをします。揉むと繊維がダマになりやすいので水に押し込むように押し洗いをするのがコツです。
冷たい水よりは少しぬるいお湯のほうが汗や皮脂が溶けやすいのでおすすめです。温度としては30度〜40度ぐらいが良いでしょう。
洗濯し終わったら天日干しで乾かしましょう。ポリエステルは日光にも強いので直射日光に当てても大丈夫です。半乾きだとカビが生えるのでしっかりと乾燥させましょう。
3次元高反発ファイバー
3次元高反発ファイバーは、ポリエチレン製のファイバーを三次元構造に編み込んだ素材です。硬めで反発性が強いため、洗濯機で洗うには向きません。
最大の特徴は通水性が高いことです。三次元構造の中まで水を透過するため、大量の水を勢いよくかければ中まできれいになります。
そのため、水で流す、流し洗いが最適です。浴室や洗面所で中身だけを水で流し、陰干しして乾かします。速乾性があるので、陰干しでもすぐに乾きます。浴室で洗って、洗った後はそのまま浴室に干し、浴室乾燥をつけておくのがおすすめです。
無膜ウレタンフォーム
3次元高反発ファイバーと同じく洗える高反発素材です。3次元高反発ファイバーがポリエチレン製なのに対し、無膜ウレタンフォームはウレタン製です。普通のウレタンは水を通しませんので洗っても水が表面を流れるだけですが、無膜ウレタンは無膜加工という特殊な加工を施しており、中まで水を通します。無膜加工とはウレタンの気泡にある膜を除去する加工で、これを行うことで気泡の内部まで水を浸透させることができます。
洗い方は3次元高反発ファイバーと同じく、浴室などでの流し洗いです。乾かし方も同じで、浴室乾燥などを用いて陰干ししてください。
丸洗いできない枕の素材別メンテナンス方法
天然由来の素材でできている枕は、丸洗いすると腐ってしまう可能性があります。そういった枕の素材別メンテナンス方法をご紹介します。
そばがら
そばがらは植物の殻を乾燥させたものなので水に濡れるとふやけてしまい、腐ってしまいます。したがって、洗うことができません。除菌したい場合は天日干しが有効です。
ただ、長年使っているものは汗や皮脂が染みこんでいるため、枕をそのまま天日干ししただけではあまり除菌できません。
徹底的に除菌する場合は中のそばがらを出して新聞紙に広げてから干すと効果的です。ただ、そばがらを新聞紙に広げていると風で飛んだりしてしまうので、あまりおすすめはできません。
そばがらは昔ながらの素材で、根強い愛好家がいらっしゃいます。しかし、現代ではウレタンやファイバー、ラテックスなど、より衛生的で使いやすい新しい素材が出てきていますので、特に理由がなければそばがらの枕を選ぶのはおすすめできません。
羽毛
羽毛もそばがらと同じく天然由来の素材ですが、こちらも基本的に水洗いができません。羽毛は乾かすのに数日程度の時間がかかり、その間に雑菌やカビなどが湧いてしまう可能性があります。
天日干しで消毒ができますが、長時間日光に当てるとへたってしまい、ふわふわ感がなくなるので、片面につき1時間が限度です。
洗濯表示タグにドライ表示があればクリーニングに出すことができます。
低反発ウレタン
低反発ウレタンは丸洗いできません。同じウレタン素材でも無膜ウレタンとは違います。低反発ウレタンを水に浸けると加水分解という化学反応が起こり、バラバラに崩れてしまうのです。
また、天日干しをすると温まって柔らかくなってしまうので、風通しの良い場所で陰干しすることになります。表面が汚れている場合は固く絞った濡れタオルで拭くのが効果的です。
ただ、濡れタオルや陰干しだけでは衛生的に劣ると言わざるを得ません。低反発ウレタンは通気性が悪く、カビも生えやすいためファイバーやラテックス製の枕をおすすめします。
天然ラテックス
ラテックスとは天然ゴムのことです。ラテックスも低反発ウレタンと同じく、加水分解が起こるので丸洗いはできません。しかし、ラテックスには菌を抑制する性質があります。また、ダニが住みにくい環境でもあります。
ラテックスはゴムの木から出る樹液を精製して作りますが、この樹液には天然の抗菌作用があることがわかっています。素材自体にそのような作用があるので、洗えなくても衛生的なのです。
お手入れの仕方は風通しの良い場所で陰干しするだけで問題ありません。
枕を洗う方法と注意点
枕を洗う場合、洋服のようにただ洗濯機に入れれば良いというわけではありません。枕の洗い方と注意点について見ていきます。
洗濯機で洗う方法と注意点
1.枕カバーを取り外し、洗濯表示タグを確認する。
まずは枕カバーを取り外します。カバーには洗濯表示タグがついているので、その表示を確認し、洗えるか洗えないかを判断します。
洗える場合でも手洗いや洗濯機、ドライクリーニングなどの表示がありますので、それに従った洗い方にします。洗えない場合は干すだけにしましょう。
2.洗濯ネットに入れる
枕は洗濯ネットに入れて洗います。洗濯ネットに入れることで、万が一、枕が破れて中材がはみ出したりしても洗濯機を壊すことはありません。また、枕の表面のほつれなどを防止する効果もあります。
洗剤は中性の刺激が少ない液体洗剤がよいでしょう。
3.洗濯機は弱いコースに設定
洗濯機には通常のコースではない弱い水流のコースがあります。メーカーによって名前の違いますはありますが、「ソフトコース」「手洗いコース」「ドライコース」などがそれにあたります。枕を洗う際にはそのような弱い水流のコースで洗うようにしましょう。強いコースで洗うと形が変形することがあるので注意してください。
4.洗い終わったら全体を均一にならして干す
弱いコースで洗ってもある程度は中身が偏るので、手で叩いたりして均一にならしてから干します。
干し方も洗濯表示タグに書いていますので、それに従ってください。素材によっては乾くのに数日程度かかることもあります。
手洗いする方法と注意点
1.枕カバーを取り外し、洗濯表示タグを確認する。
これは洗濯機の場合と同じです。
2.洗面所や浴槽、タライなどにお湯を張る
手洗いの場合はお湯を張って洗います。お湯は素材によりますが30〜40度ぐらいが普通です。表示タグに温度も書いてありますので、それに従ってください。
3.張ったお湯に中性洗剤を入れる
洗剤をお湯に入れて混ぜます。この場合も中性の液体洗剤が良いでしょう。粉の洗剤は溶けにくいので使わないほうが良いです。
4.押し洗いをして終わったらすすぐ
多くの枕は水に浮くので浸け置き洗いなどはできません。浮いてくる枕を水に押し込むようにして押し洗いするのがコツです。
ある程度洗ったら溜めた水を入れ替えてすすぎをします。何回か水を入れ替えつつすすぎましょう。
5.干す
干し方は洗濯機の場合と同じです。脱水機能が使えない分、乾くのに時間がかかりますので、エアコンのドライ機能や浴室乾燥などを有効に使いましょう。
洗えない枕を洗ってしまった場合の対処法
洗えない枕を洗ってしまった場合の対処法は素材によって異なりますが、ここでは一例として低反発ウレタンの場合を説明します。
1.カバーを付ける
まず濡れたままで良いのでカバーを付けます。なぜなら低反発ウレタンの枕を洗うと崩れやすくなっているためです。カバーを付けることで崩れることを防止します。
2.押し出すように水分を出していく
洗面所や浴室などで枕を揉むように押しつけて水分を押し出していきます。
3.日陰に干す
ある程度水分を押し出したら日陰に干します。数日から1週間程度かかるでしょう。時間がかかるからといって天日干しはしないようにしましょう。天日干しにすると素材によっては中材が傷んでしまう場合もあります。
枕カバーの洗い方は?
枕カバーを洗う際、服や下着などの洗濯物と一緒に洗う方が多いかもしれません。しかし、枕カバーにも洗い方にコツや注意点があります。
漂白剤は使わない
漂白剤は生地が傷んだり、色合いが変わったりするのでおすすめできません。どうしても必要なときだけ使うようにしましょう。
洗濯機で洗う際は裏返して洗濯ネットに入れる
洗濯機で洗う際は裏返して洗いましょう。なぜならシルクやサテン生地などデリケートな生地は傷みやすいからです。裏返すことで素材の傷みを少なくできます。裏返したうえで洗濯ネットに入れて洗いましょう。
素材ごとの洗い方・お手入れ方法・注意点のまとめ
素材 | 洗い方 | 干し方 | 注意点 |
パイプ | 手洗いか洗濯機 | 天日干し | 表示タグを確認すること |
ストロー | 手洗いか洗濯機 | 天日干し | 表示タグを確認すること |
ビーズ | 手洗いか洗濯機 | 天日干し | 表示タグを確認すること |
ポリエステルわた | 手洗い | 天日干し | 40度のお湯で押し洗い |
3次元ファイバー | 流し洗い | 陰干し | 浴室でシャワーをかけたあと、浴室乾燥で乾かす |
無膜ウレタン | 流し洗い | 陰干し | 浴室でシャワーをかけたあと、浴室乾燥で乾かす |
そばがら | 不可 | 天日干し | 水に濡れると腐る |
羽毛 | 不可 | 短時間の天日干し | 天日干しは1時間程度でやめること |
低反発ウレタン | 不可 | 陰干し | 水と日光は傷むため不可。室内干しは可。 |
天然ラテックス | 不可 | 陰干し | 抗菌作用があるためときどき干すだけで可。 |
Q&A
枕・枕カバーの洗濯頻度は?
素材によっても変わりますが、枕本体はだいたい半年に一度ぐらいの頻度が目安です。
枕カバーは汚れやすいので、週に1回か2回は洗いましょう。複数枚用意しておいて洗っている間は新しい物に交換すると良いでしょう。
枕の洗濯に向いている洗剤は?
枕や枕カバーはデリケートな生地や素材であることが多いです。よって刺激の少ない中性の液体洗剤が良いでしょう。粉洗剤は溶けにくいのでやめたほうがよいです。
コインランドリーでの洗い方は?
洗濯表示タグに洗濯機のマークがついていればコインランドリーでも洗濯できます。洗い方は家庭での洗濯機とだいたい同じです。洗濯ネットに入れるのを忘れないようにしましょう。コインランドリーは料金がかかりますが、できれば他の洗濯物と一緒にせず枕だけで洗うことにより傷みを抑えられます。乾燥機が使えるかどうかも洗濯表示タグに書いてありますので確認しましょう。
普段のお手入れ方法は?
週に1回か2回の頻度で枕を干し、枕カバーを洗いましょう。天日干しができる素材なら天日干し、できない素材なら風通しの良いところで陰干しをすると良いです。