親知らずなどの抜歯後の違和感や痛み、そしてそれが原因の睡眠不足。経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。抜歯後の不調が長期化すると、免疫力が低下し、抜歯の傷がなかなか治らずに痛みも引かないという悪循環に陥ってしまうことがあります。
ケアを間違えると二次災害のように他の箇所まで影響を及ぼしてしまう抜歯手術。今回は、抜歯をしてから痛みで眠れない方や、これから抜歯をするという方のために、抜歯前後のNG行動や眠れない時の対処法などをご紹介します。
睡眠不足の状態で抜歯手術にのぞむのはNG
手術前はじゅうぶんな睡眠が必要
睡眠不足の状態で抜歯手術を受けるのは良くないと言われています。
抜歯をする際には、局所麻酔の注射をして痛みや出血を和らげます。しかし、寝不足や徹夜明けで体調が万全でないと、麻酔によって気分が悪くなったり、術後に出血が止まらなくなったりといった不調を招くおそれがあります。患者が体調不良で安全性を担保できないと医者が判断した場合、途中で手術を中断することもあります。
治癒のためには手術後の睡眠が重要
術後の睡眠不足もまた良くないとされています。
患部は縫合しますが、そこからは自分の治癒力に頼るしかありません。傷を直すには睡眠が必要。術後もしっかり寝て、健康的な生活を送る必要があります。特に抜歯してから3日間程度は腫れがひかないことがあり、この間に寝不足や徹夜など不摂生な生活をしていると、免疫力が落ちて発熱、悪寒、倦怠感などといった症状を引き起こすことがあります。抜歯後も、傷が落ち着くまでは気を抜かずにしっかり睡眠をとることが必要です。
睡眠不足だけではない!?抜歯後のNG行為とは
先述の通り、抜歯の際は特に睡眠をしっかりとって規則正しい生活をする必要がありますが、それ以外にも注意しなければならないことがあります。痛みが長引けば睡眠不足になり、睡眠不足が続けば回復が遅れるだけでなく身体のあちこちに支障が出てしまうという悪循環を生みます。治るまでは気を抜かずに生活リズムを守って過ごしましょう。
1.傷口は舌で触らない
手術後は気になってついつい患部を舌で触ってしまいがちですが、幹部を刺激するのは控えましょう。刺激によって、血餅(けっぺい)という血が固まってできるもち状の塊が剥がれてしまうため、抜歯後の穴がうまく塞がらずに骨が露出したままになる「ドライソケット」になるリスクが高まります。ドライソケットになると、ズキズキとした激しい痛みを伴います。
2.薬は忘れずに最後まで飲みきる
歯科医から処方された抗生物質などの薬をうっかり飲み忘れると、治癒が遅れるだけでなく、体の中で耐性菌ができてしまい、薬が全く聞かなくなって悪化してしまうことがあります。そして時には、発熱や悪寒、震え、目眩などの症状が出ることも。
出された薬は、決められた通りに全部飲みきるのが基本。自分の判断で途中でやめてしまうのはNGです。
3.お酒は控える
抜歯後はしばらく出血があります。飲酒は血液を拡張させて止血を妨げ、結果的に傷の治りを遅くします。少なくとも抜歯から3日間程度はお酒を飲むのを控えましょう。
4.激しい運動は控える
抜歯後に激しい運動をすると、血行が良くなって出血が止まらなくなったり、痛みがひどくなったりすることがあります。数日間は運動を控え、傷口が落ち着いてから運動を再開しましょう。
抜歯後の痛みを長引かせない寝姿勢とは?
抜歯後の痛みは、寝姿勢によって悪化したり緩和されたりします。痛みがやわらいでぐっすり眠れる、おすすめの寝姿勢をご紹介します。
抜歯した方を上にして寝る
抜歯後にうつ伏せや抜歯した方を下にした横向きで寝ると、患部が圧迫されて痛みが生じることがあります。仰向けか、抜歯した方を上にした横向き寝がおすすめです。
枕を高くして寝る
顔に血が集まると腫れや痛みが長引きやすくなるため、血液をできるだけ下に向かわせるようにします。枕の上にタオルを置くなどして、普段よりも頭の位置を高くしましょう。
寝返りで患部が圧迫されないよう物を置く
仰向け寝や、患部を上にした横向き寝で寝ていても、寝返りで抜歯した部分に負担をかけてしまう恐れがあります。本来、睡眠時の寝返りはとても重要ではありますが、抜歯後は物を置いて寝返りを制限するなど患部が下にならないような工夫も必要です。
まとめ:抜歯前後にはじゅうぶんな睡眠が必要。健康的な生活を心がけよう
睡眠不足と親不知の抜歯。一見、何の関係もないように思われますが、実は睡眠不足は抜歯に大きな影響を与えるのです。睡眠がじゅうぶんでないために手術が行えなかったり、治りが遅くなったり、そして痛みが引かなくなったり。睡眠不足は万病の元。抜歯前後はもちろんのこと、日頃から睡眠はしっかりとって、規則正しく健康的な生活を心がけましょう。