「寝る前にタバコを吸うと、リラックスして寝られる」、という話を聞きますが、果たしてそれは本当でしょうか。実は、タバコに含まれるニコチンには不眠をもたらす効果があると言われています。そこでこの記事では、タバコが睡眠にもたらす影響、禁煙中の離脱症状による体調不良や不眠の解消方法について書いていきたいと思います。
タバコを吸うと睡眠不足になる理由は?
タバコは睡眠に悪影響を及ぼすというのをご存知ですか?フロリダ大学が5,000人を対象に行った調査(2013年9月に”Psychology, Health & Medicine” 誌に掲載)では、喫煙する本数が増えるたびに平均1、2分睡眠時間が減ったとの結果が出ています。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」にも、たばこが不眠をもたらすことについての言及があります。たばこのニコチンには鎮静作用と興奮作用(覚醒作用)の背反した2つの作用がありますが、興奮作用が特に強く表れます。寝付きを良くするために「寝タバコ」をする方もいますが、実際には効果がないどころか、逆にタバコの作用で寝付きだけでなく睡眠の質を低下させる可能性が高いのです。なお、これは受動喫煙でも同様です。
睡眠だけじゃない?!ニコチンが体に及ぼす実害とは?
たばこのニコチンは、寝不足を招くだけでなく体に様々な実害をもたらします。いくつか代表的なものを紹介します。
肌がくすむ、シワが深くなる
ニコチンが体内に入ると、血管が収縮して肌に酸素が行き届かなくなります。そのため、肌はくすみシワは深くなりやすいとのこと。非喫煙者に比べると、肌の老化の進行が早くなる危険があります。
歯周病になりやすい
喫煙をすると口腔内の血中酸素が欠乏するため、治療しても歯肉の腫れ・出血の治りが遅く、さらに治療しても改善しない悪循環に陥る傾向にあります。
呼吸が苦しくなる
タバコの有害物質が呼吸器系の臓器に入り、様々な悪影響をもたらします。特に昨今問題になっているのが、慢性閉塞性肺疾患(通称COPD)という疾患。初期段階はほぼ無症状ですが、徐々に重症化し、やがて呼吸困難になります。現在約22万人の患者がいると言われています。
禁煙後の離脱症状を乗り越えて眠気・寝不足を改善!5つのポイント
禁煙後に訪れるのが「離脱症状」。離脱症状では、倦怠感、強烈な眠気、不眠などの症状が表れます。ここでは、禁煙中の離脱症状と上手く付き合い、寝不足を解消していくポイントを紹介します。
1.徐々に禁煙する
離脱症状は禁煙してから3日間がピークで、1ヶ月程度でおさまるといわれています。いきなり禁煙するのは、猛烈な眠気やイライラに襲われてしまうため逆効果。寝タバコ・目覚めの一服からまずやめてみるのがベターです。
2.規則正しい生活を送る
禁煙してすぐは、身体が思うように動かなくなりますが、そこはグッと我慢し規則正しい生活を送るように心がけましょう。不調に身を任せて不規則な生活をしてしまうと、慢性的な寝不足に耐えられなくなってまたタバコを吸ってしまうかもしれません。
3.運動をして疲労感を高める
離脱症状がある間は、タバコ以外で寝付ける方法を考えましょう。おすすめなのが、運動をして疲労感を高める方法。ヘビースモーカーの方は、激しい運動をするとすぐに息切れしてしまう可能性があるので、ウォーキングや自重トレーニングなど軽めのものから始めましょう。
4.コーヒーやお酒をなるべく控える
コーヒーやお酒は、睡眠の質を低下させるだけでなく、たばこを連想しやすくなります。禁煙してすぐ、特にピークの3日間はコーヒーやお酒を控えましょう。
5.水を飲む
お菓子やジュースに置き換えて禁煙する方法がありますが、依存先がお菓子やジュースに移っただけで、根本的な解決になりません。禁煙後は味覚が鋭くなるため、美味しく感じてつい食べすぎ・飲みすぎて睡眠の質の低下、肥満の原因にもなります。水に置き換える場合、体にかかる負担も少なく、睡眠にも悪影響を及ぼしません。
まとめ
タバコを吸っていると、知らず知らずのうちに不眠に陥っています。やめてすぐは離脱症状が出るため一時的に不眠や過眠に陥りますが、そこを抜ければ睡眠の質は正常な状態に戻ります。ここしばらく寝付けない、眠りが浅いと感じている方は、徐々に禁煙をして睡眠の質を高めていきませんか。