忘年会シーズン! 飲酒と睡眠のいい関係
お酒を飲むとよく眠れる?
今年も忘年会シーズンが到来しました。おつきあいで夜遅くまでお酒を飲むことも多いですよね。そして、ついつい飲み過ぎてしまう…そこで気をつけないといけないのが、お酒の量と飲み方。遅くまでお酒を飲んだ夜は、寝付きがいいと感じている方も多いと思います。アルコールは少量であれば、気分がよくなり脳をリラックスさせる効果があるからです。欧米では”ナイトキャップ”と言うように、アルコール度数の強いウイスキーをかっこよく飲んだり、寝酒もおしゃれでポジティブなイメージですよね。しかし実際は、利尿作用でトイレが近くなったり、中途覚醒しやすくなって眠りが分断されてしまうのです。
脳にも影響? アルコールはレム睡眠を阻害する
アルコールの取り過ぎは、睡眠の質を悪化させることがわかっています。寝付きは早いかもしれませんが、睡眠段階の後半に現れるレム睡眠(浅い睡眠)を阻害するため、睡眠のリズムそのものが乱れてしまうのです。睡眠は、身体を休めるだけでなく、脳まで休めて心身を回復させる大切な時間。質の高い睡眠が取れないと、脳も正常に機能できません。脳が正常に機能できないとどうなるでしょう?なんと、「記憶の整理」に支障をきたします。その理由とは、レム睡眠中、脳では必要な記憶や経験を固定する働きをしているからなのです。誰もが毎日あたり前にとる睡眠、その大切さをこの機会に見直してみてください。
最適なお酒の量とは?
では最適なお酒の量とはどれくらいでしょう。体重60kgの人であれば、体重1kgあたり約0.3gのアルコール摂取、血中アルコール濃度では0.03%程度が、陽気になり気分良く飲める目安です。ビール中ビン1本、日本酒なら1合、ワインや酎ハイなら2杯程度飲んだくらいでしょうか。驚くことに、同じ体重60kgの人がこの倍の量のアルコールを摂取すると、2時間の睡眠不足に相当し、脳機能が低下して作業能力が悪化します。そして、ヒューマンエラーを起こしやすくなるという研究報告があります。みなさんはいかがですか?私はお酒に弱くあまり飲めないため、たまたま適量を飲んでいたようでホッとしました。そうは言っても大事な接待の場面など、どうしても飲まないといけない時もありますよね。おすすめの飲み方は、「チェイサーには水を!」です。水をたくさん飲むとアルコールの影響を身体から早く消すことができるので、血中アルコール濃度を下げるとともに、睡眠の質をキープすることができます。
飲酒と睡眠 いい関係を
睡眠中も体内では消化活動が行われています。そのため、胃の中に食べ物が残っている状態では、胃腸が活動をして眠りにつきにくくなってしまいます。食べ物の消化には、約4時間はかかると言われているので、最低でも、眠る2~3時間前までには食事は終わらせたいもの。飲酒も先ほどの適量を目安に、眠る3時間前からは摂取しないのが理想です。アルコールが身体から抜けた状態で眠りにつくことが、「質の高い睡眠」を取るポイント。とは言え、お酒を飲むことは円滑な人間関係を築いたり、楽しい時間を共有するなど良い面もたくさんあります。お酒には飲まれず、休肝日もつくって、忘年会シーズンを乗り切りましょう。
※出典
応用講座 睡眠改善学(日本睡眠改善協議会編)[Roehrs. T.,2003]
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