マットレスの上に布団を敷いても大丈夫?上に敷く寝具の選び方を解説
マットレスの上に布団を敷くことは、湿気がこもってカビが出たり、寝心地が悪くなったりして身体にも影響を及ぼす可能性があるため、あまり好ましいものではありません。では、代わりにどのようなものをマットレスの上に敷いて寝ればよいのか、対応方法をお伝えします。
マットレスの上に布団を敷くことは基本的にNG
マットレスの上に布団を敷いても大丈夫かと聞かれれば、答えはNOです。健康面や手入れの手間を考えても、「マットレス+布団」の組み合わせは基本的に好ましくありません。
もしも「マットレスを汚したくない」「マットレスが硬すぎて(柔らかすぎて)眠りにくい」「腰が痛い」などさまざまな理由でマットレスの上に布団を敷いているのであれば、デメリットばかりなので別の方法で対処することをおすすめします。
この記事ではマットレスの上に布団を置かないほうがよい理由や、マットレスの上に敷けるもの、マットレスが身体に合わない場合の対処方法などを解説します。
マットレスは上に布団が乗ることを想定して作られてはいません。間違った使い方をして身体に不調をきたさないよう気をつけましょう。
マットレスの上に布団を敷くべきではない理由
マットレスの上に布団を敷くことで生じる、さまざまな弊害があります。どのようなことが起きるのか、布団を敷いた際のデメリットを解説します。
カビが生えやすいから
マットレスにカビが生えてしまったら嫌ですよね。実はマットレスの上に布団を重ねると、カビが生えやすくなります。
カビは温度や湿度などの条件がそろうことで繁殖します。カビが繁殖しやすい条件は次の通りです。
- 気温が20~30度
- 相対湿度80%以上
- 栄養源が豊富(アミノ酸など)
- 酸素がある
梅雨の時期にカビが生えやすい理由は、これらの条件が自然に整ってしまうからです。これはマットレスにも当てはまります。
人は寝ているときに寝汗を200~600㎖ほどかきます。それらの湿気が体温で温まり、そこにふけや髪の毛などの付着物があると、それらをを栄養としてカビが繁殖します。
注意しなければいけないのは、カビが毒素を持っているという点です。クロカビは呼吸器アレルギーの原因となりやすく、小児喘息などに気をつけなければなりません。コウジカビは気管支肺アスペルギルス症、フラパスは肝臓がんを引き起こす因子となります。
他にもカビが原因のアレルギーはあります。「アレルギー(アトピー)性皮膚炎」、「アレルギー性鼻炎」、「アレルギー性結膜炎」「アレルギー性喘息」などです。
では、カビを予防するにはどのようなことをすればよいのでしょうか。効果的な方法は換気、それから寝具を干すことです。カビが発生する条件をなくし、風を通すことで胞子を飛ばしてしまいましょう。
布団をマットレスの上に重ねている場合、窓を開けて掛け布団を剥いでおいても、下までしみた寝汗がマットレスにもしみこみ、ちょっとした換気くらいでは蒸発していきません。
毎日布団を上げ下げして、マットレスを乾燥させることができるのなら問題ないですが、それが難しいようであれば、カビの温床とならないように布団をマットレスに重ねないよう心がけましょう。
快適な睡眠の妨げとなってしまうから
マットレスは、上に布団を敷いて使用するように設計されていません。マットレス単体で使用したときに快適に眠れるように作られています。
そのため上に布団を敷いてしまうと、寝心地が変わってしまいます。
せっかくマットレスによい素材やスプリングが使われていても、上に敷き布団を敷くと敷き布団の寝心地になってしまいます。
マットレスを痛ませたくない、マットレスだけでは身体が痛いなどの理由でなにかしらマットレスの上に乗せたい場合には、乗せることに適した寝具を選びましょう。
マットレスの上に乗せられる寝具としては、ベッドパットや敷きパッド、マットレストッパーなどがあげられます。
身体の疲れが取れにくくなってしまうから
マットレスと畳を比べるとマットレスのほうが柔らかいため、上に布団を敷いてしまうと、頭や腰など重量のある部分が沈み込んでしまい、眠っているときの姿勢が悪くなってしまいます。
また沈み込んだ分、動きが取りにくくなり寝返りが打ちにくくなります。実は睡眠で寝返りはとても大切です。
布団に横たわったとき、布団との接触面は圧迫されます。圧迫された部位の血液循環は滞り、身体に負担がかかります。寝返りは一晩で20回ほど行われるといわれていますが、寝返りを打つことで滞った血液循環を元に戻し、凝り固まった筋肉をほぐす効果が期待できます。
もう一つ寝返りの効果として期待できるのが体温調整です。同じ寝姿勢で布団の中に入っていると、どうしても寝具に熱がこもってしまいます。寝返りは空気の循環を助けます。寝返りによって空気を入れ換え、睡眠に適した温度や湿度を保つ必要があります。
このようにマットレスの上に布団を敷いてしまうと、寝返りが打ちにくくなり、疲れが取りにくくなることがあります。寝姿勢が悪いことで頭痛や肩こり、腰痛などの症状が出ることもあるため、「マットレスの上に布団」は極力避けるようにしましょう。
マットレスの上に敷く寝具の選び方
マットレスの上に敷く寝具はどのように選ぶと良いのでしょうか。一般的に、マットレスの上に敷く寝具の順番は次の通りです。
- マットレス
- マットレスプロテクター
- マットレストッパー(マットレスパッド)やベッドパッド
- シーツ
- 敷きパッド
すべて併用する必要はありません。目的に合わせて使用する寝具を選択しましょう。
ベッドパッドの場合
マットレスを汚したくない場合に特におすすめなのがベッドパッドです。シーツよりも厚みがあるので、汚れ防止だけではなくマットレスの劣化をカバーしたり、睡眠時の快適性を改善したりする効果が期待できます。
ベッドパッドの選び方ですが、まず「汚れ防止」と「睡眠時の快適性」のどちらをより重要視するか決めておくことが大切です。汚れ防止を重視したい場合には丸洗いできるものを、快適性を重視したい場合には目的にあった機能を持つものを選びましょう。
ベッドパッドの素材にはコットンやポリエステル、ウールがよく使われています。以下メリットとデメリットをまとめています。
素材 | メリット | デメリット |
コットン | 保温、吸湿、弾力、肌触りに優れる。 | 放温性が悪い。 |
ポリエステル | 軽く、弾力や保温にも優れる。 | 吸湿性が悪く、夏に蒸れやすい。 |
ウール | 保温、吸湿、放湿、弾力に優れる。 | 虫食いの被害がでやすい。 |
ポリエステルは人工素材ですが、防菌・防虫・防臭機能を備えているものも多く出ています。洗うときにホコリもできにくく乾きやすいので洗濯を頻繁にしたい人にも向いています。
コットンは肌触りがよいため人気があります。綿100%のものを選ぶことをおすすめします。しかし、吸湿効果が高い分、水分を含んで重くなりやすいです。コットンのベッドパッドは意識的に乾燥させるようにしましょう。
ウールは価格が他のものに比べて若干高めですが、吸湿性に優れているので寝汗をたくさんかく人におすすめです。ウールは冬によく使われるイメージがありますが、年間を通して使用できます。
このようにベッドパッドは素材によって一長一短があります。また表面と中身で素材が異なることも多いです。そのため、それぞれの特徴を理解した上で自分に合ったものを選択するようにしましょう。
ボックスシーツの場合
シーツは「通気性・吸湿性・保温性」に注目して選ぶことをおすすめします。眠っているときの寝汗はコップ一杯以上になります。シーツは汗や湿気を吸収してくれるものでないと、蒸れやすく寝苦しさが増します。
綿100%のものは汗や湿気を吸収しやすいという特徴があります。吸湿性が高い分、汗の汚れがしみこみやすいので、こまめに洗濯をしたり乾燥させたりしましょう。
ポリエステル100%のシーツは安価です。しかし蒸れやすいというデメリットもあるため、購入の際は価格に見合った商品であるかどうかを判断する必要があります。
他にも柔らかく温かいマイクロファイバーや、通気性がよく夏場に心地よいリネン(麻)、保温性のあるシルクなどがあります。
またシーツの形には昔ながらの布状の「フラットシーツ」と、箱形でマチのついた「ボックスシーツ」があります。ボックスシーツは四方をマットレスにかぶせて装着できるので、ずれにくく使いやすいです。
マットレスでシーツを使用する場合や、「フラットシーツだときれいにベッドメイキングできない」、「シワのない状態でベッドに入りたい」という人にはボックスシーツがおすすめです。
ボックスシーツの購入時には、サイズ表記を確認する必要があります。洗濯で縮んだりする素材もあるため、5~10㎝くらいは余裕のあるものを選びましょう。
敷きパッドの場合
敷きパッドは綿の入った薄いパッドですが、トッパーやウレタンフォームと比べると厚さがないためにクッション性は少ないです。そのためマットレスの寝心地改善というよりは、マットレスの汚れ予防対策として使用されることが多いです。
シーツの場合、寝汗がシーツを通過してマットレスに汗染みができることがあります。しかし敷きパッドは中に綿が入っているため、汗を吸収し汗染みを防ぐことができます。
また敷きパッドは気軽に洗濯機で丸洗いができます。そのため、手入れや洗濯のしやすい素材を何枚か洗い替え用に用意しておくと便利です。
敷きパッドの素材ごとの特徴は次の通りです。
素材 | 優れている◎ | 劣っている△ |
綿(コットン) | 吸水性・吸湿 | 放湿性 |
麻(リネン) | 吸水性・吸湿性・放湿性 | 柔らかさ・なめらかさ |
絹(シルク) | 柔らかさ・なめらかさ・吸水性・吸湿性 | 耐久性・洗濯 |
羊毛(ウール) | 吸水性・吸湿性 | 耐久性・洗濯 |
レーヨン(リヨセル) | 柔らかさ・吸水性・吸湿性・放湿性 | 耐久性・洗濯 |
ポリエステル | 耐久性・洗濯 | 柔らかさ・吸水性・吸湿性 |
今回ご紹介する素材の中で吸湿性や吸水性にも優れていてバランスが良いのは綿100%素材の敷きパッドです。
表の素材の中で洗濯に強いのはポリエステルですが、吸湿性や吸水性が劣る敷きパッドは、蒸れて暑苦しくなる傾向があります。そのためポリエステルやナイロン、アクリルなどの素材のみで作られている敷きパッドはおすすめできません。
また、夏になると冷感素材のものが脚光を浴びますが、ひやっと感じる冷感は最初の3分程度で終わるものも多いため、購入の際は冷感の持続力にも注目する必要があります。
マットレスが身体に合わないときの対処法は?
布団をマットレスの上に敷いている方の中には「マットレスが身体に合わない」「寝起きに身体が痛い」とお悩みの方も少なくないと思います。ここではそうした方に向けて敷き布団以外の対処方法を解説します。
専用の寝具を上に敷いて対応する
マットレスに寝心地の悪さを感じる場合、専用の寝具を置いて改善できます。しかしマットレスのへたりなどが直るわけではないため、一時的な代用品として活用するようにしましょう。
マットレスの上に置いて使用する寝具には、マットレストッパー(マットレスパッド)やベッドパッド、ボックスシーツ、敷きパッドなどがあります。
「まだ捨てるにはもったいないけど、寝心地が悪くなってきた」という状態のマットレスの寝心地を改善したい場合は、マットレストッパー(マットレスパッド)を使用してください。マットレスを買い替えると高額になりますが、マットレストッパー(マットレスパッド)なら低価格で寝心地を改善できます。
マットレストッパーは一般的に2~2.5㎝程度の厚みですが、厚みがあるほど快適さを実感できるので2.5㎝くらいのものがおすすめです。購入を検討する際には、通気性、厚み、耐久性のある素材かどうかに注目します。
ボックスシーツや敷きパッドなどは厚みが薄いため、寝心地改善よりも汚れ防止としての役割が大きいです。しかし肌触りや冷感などを変えることは可能なので、悩みに応じて適した寝具を選びましょう。
タオルなどを使って微調整する
マットレスが柔らかすぎて身体が沈み込む場合や、へたってしまった場合、応急処置としてタオルを使う方法があります。
沈み込んでいる部分にタオルを当ててくぼみをなくし、その上からマットレストッパー(マットレスパッド)や厚めの敷きパッドなどを敷くと、マットレスの沈み込みを軽減させることができます。
あくまで一時的なもので、寝心地のよさはそれほど期待できません。またタオルをうまく敷けずに高く盛り上げてしまうと、腰を痛めることもあるため注意してください。
マットレスを買い替える
マットレスの寿命は、低反発ウレタンなら3~5年、高反発ウレタンやボンネルコイルなら5~8年、ポケットコイルなら8~10年程度だといわれています。しかし、へたりや寝心地の悪さなどを感じたら使用年数に関係なく買い替えを検討してみてください。
マットレスは1万円代から100万円以上のものまであり、価格帯はピンキリです。見た目は似ていても、内部構造次第で寝心地は大きく変わります。寝心地と価格のバランスを比較し、じっくりと検討することをおすすめします。
典型的なマットレスは大きく分けて「ボンネルコイル」「ポケットコイル」「ノンコイル」の3つに分かれます。それぞれに特徴があるため、自分に合ったものを選ぶ必要があります。
- ボンネルコイル : 鋼のコイルがすべて連結。硬めで寝返りがしやすい。通気性がよい
- ポケットコイル : 鋼のコイルが独立。柔らかめで肩や腰への負担が気になる人向け
- ノンコイル(低反発) : ゆっくり沈み込むような心地
- ノンコイル(高反発) : 沈み込みが少なく、寝返りが打ちやすい
また、それ以外にもマットレスにはヤシ木の繊維を使ったパームマットレスや、エアーマットレス、ウォーターベッドなど様々な種類があります。
マットレスを選ぶときに重要視しなければならないのは、横たわったときに立ったときの自然な立ち姿と同じ姿勢をキープできるかどうかという点です。
必ずしも楽な寝姿勢が良いわけではありません。肩や腰を痛めている人ほど不自然な寝姿勢を取りやすいため注意が必要です。
柔らかすぎて背骨のS字カーブがゆがんでしまったり、寝返りがしにくかったりするマットレスは避け、理想の寝姿を維持できるマットレスを選択しましょう。
マットレスの上に布団を敷くことはやめよう
マットレス上に布団を敷きたくなる理由は様々です。しかし「カビが生えやすい」「寝ているときの姿勢が悪くなる」「マットレスのよさがいかせない」などのデメリットを考えると、マットレスの上に布団を敷く行為は控えることをおすすめします。
そもそもマットレスは理想の寝姿勢をキープするために使用します。質の高い睡眠は、心身の疲れをしっかりと取ってくれます。健康的な毎日を過ごすために、適切な使い方でマットレスを使用しましょう。